2011年7月23日土曜日

7/19 中央統制から自己決定へ

 演劇時評。

*東日本復興構想会議の提言

 先月25日、政府の東日本復興構想会議が提言をまとめ、菅首相に提出した。

 大手メディアでは提言が増税を主張したことばかりを取り上げているようだ。経済の専門家以外のひとびとが中心となってつくった提言に関して、そのようなクローズアップを行うのはフェアではないし、提言の可能性を縮減するものと考える。

 わたしは、例えば「地域自立型エネルギーシステム」という項目において以下のように主張されていることは、率直に評価したい。

こうした自立・分散型エネルギーシステム(スマート・コミュニティ、スマート・ビレッジ)は、エネルギー効率が高く、災害にも強いので、わが国で長期的に整備していく必要がある。そこで、被災地の復興において、それを先導的に導入していくことが求められる。

 他方、復興に関して一貫して感じ続けている違和感も残った。それは、結局のところ現在の復興プランは、「中央が地方を指導する」という枠組みを維持するものではないか、ということだ。

 わたしは、もし東北の人々が望むなら、どんなに客観的に危険であれ、ふたたび海辺に家を立て、居住してもいいと思う。何を教訓とし、どこに住むかを、遥か遠く離れた東京にいる政治家や役人に決められてはたまらない。地域ごとに決定するならまだ分かるが、これからの地域のあり方を中央から指揮するという時代ではない。

 それは、どんなに優れた計画であっても、実行するひとびとの気持ちがついていかず、「本気度」が低ければ、必ず効率が落ち、効果が衰減するからでもある。いくら知識がある人間でもやる気にならなければ役に立たないのと同じだ。データや確率など客観的なものだけでなく、主観的な行為態度をどう考慮するか、中央の管理機構が何をどれだけ地方に委譲できるか。歴史的な転機になってほしいと思う。

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