[経済学(1)(2)(3)]
この一年、もっとも楽しく、かつ継続的に取り組んでいたのは経済学の勉強だった。だから書くことは無限にあると思っていた。ところが実際には一番苦しんだ。
おそらく、経済学は「ゲーム」としてきわめてよくできているのだと思う。きわめてよくできているので、わたしのように中途半端に学んだだけではその内部に自足してしまう危険があるようだ。経済を政治や法や哲学や芸術に接続する回路をいくらでも見つけたつもりだったのに、実際には何もできなかったのは、「内部」に囚われてしまったからだと思う。
経済を大きな視野でとらえる、あるいは外部と交流させながら語る著作にもっとじっくり取り組めばよかったのかもしれない。クルーグマンの教科書や学校の問題集だけでも面白く、新聞や雑誌に書いてあることがよくわかるようにもなるので、いつのまにか経済だけでなく「世界」の理解を深めた気になっていたようだ。
わたしにとっての経済学の魅力は、それが具体的なものごとや生活についての分析と理論であることだった。しかしその軸を見失い、経済学のロジックの内部で遊んでしまった。現実の経済はさっぱり知らない。
とはいえ、勉強で身につけた知識や論理が役に立たないわけではないと思う。これをもとにものごとを見て、体験して、考えて、いい本を読むことができれば。
一番勉強し、テストもできていた経済学が、一番よくなかった。そういうものなのだろう。これから鍛え直さなければいけない。もちろん鍛え直す価値のある分野だと思っている。
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