グレッグ・イーガン『順列都市』(下)(ハヤカワ文庫、1999年)
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巨大な格子状に配列されたコンピュータ群。ランダムなノイズの海にまかれた、秩序の種子ひと粒。それが、内在するロジックの力だけで、一瞬一瞬、それ自身を拡張していく――時空間を定義するというまさにその行為によって、非時空間のカオスから、必要な建設用ブロックを“融合”させながら。[24−25頁]
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通常の宇宙の拡張は、エントロピーを増大させる。なにもかもが分散し、無秩序化するばかり。しかし、TVCセル・オートマトンの建設が進めば、生まれるのは、より多くのデータの置き場所と、より多くの計算能力と、より多くの秩序です。通常の物質はいずれ崩壊しますが、このコンピュータは物質でできているのではない。セル・オートマトンのルールの中に、このコンピュータが永続するさまたげになるものは、なにもありません。[60−61頁]
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創造者という考えかたのなにもかもが自壊したのよ。意識をもつ存在のいる宇宙は、塵の中にそれ自身を認識するか……それとも認識しないか、どちらかなんだわ。その宇宙は、自己完結した全体として、それ自身の意味をそれなりに見出すか……でなければ、まったく見出さない。神は決して存在しえないし、これからも決して存在しない。[269頁]
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