2010年9月4日土曜日

「坑夫」

 母方の祖父・上村義雄(1927-2008)は坑夫だった。

 14歳で北海道の炭坑に出て以来、戦争があれば朝鮮人労働者とともに石炭を掘り、オリンピックがくれば東海道新幹線のトンネルを掘り、田中角栄が権勢を誇れば上越新幹線のトンネルを掘った。場所も目的もさまざまな穴を、日本中で掘った。

 彼は最後に自分の穴を掘った。2004年の秋、自宅の裏に自分と妻が入るべき穴を掘り、墓を建てた。墓は二人の寝床の窓から見える。彼らは毎日自分たちの墓を眺め、花を供えた。

 昭和2年2月2日水曜日に生まれた上村義雄は2008年11月18日火曜日に81歳で病院で死んだ。大正12年10月12日金曜日に生まれた妻・美栄は2010年10月12日火曜日で87歳になる。

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