2011年3月5日土曜日

「一般」とは何か

 考えるところあってクライストの主要著作にallgemein「一般的」(英語のgeneral)という語が何回どこに出てくるか調べた。もちろん今日一日で全ての著作に目を通したわけではなく、PDFに検索をかけただけだ。クライストの主要著作はPDF版がクライスト・アーカイブのウェブで公開されていて、誰でも利用できる。

 件の単語は21回登場していた。そして予想通り、多くが「危機」や「災害」や「敵」に関係していた。

 クライスト研究においてはどうもまだ誰も触れてないようだが、allgemeinというこの語をクライストはルソーの影響下で使っているのではないかとわたしは考えている。つまりルソーの「一般意志(英訳はgeneral will)」に由来しているのではないか、ということだ。この「一般」というのは、階級や職業や性別に関わらず全体に関係するという意味だが、クライストはそれを「危機」を通じて実現するものだと考えていたのではないか。伝統も思想も制度も共有しなくとも、「危機」を共有することで「一般性」は実現し、「一般意志」があらわれる。これは彼の民主主義論にもつながる。最重要文献は「オーストリアの救済について」という小論。

 この問題系にはクライストの問題点ももろもろ含まれているのだが、ひとまず今日はこのあたりで。以下は本日の参考映像。たいへん面白い。






0 件のコメント:

コメントを投稿