昨日の演劇時評。
*地震から4ヶ月
3月11日から4ヶ月が経過した。
個人的には4月に子どもが生まれたため、家事と仕事で忙しくなり、あっという間に時間が過ぎた。
われながら情けないことだが、今回の震災と原発事故によって、わたしは初めて「歴史との接続」が始まった気がしている。2万人を超える人が津波で死んだのに、それが正当な扱いを受けてないと感じると、それは日本に特殊なことなのか、太平洋戦争後はどのような追悼が行われたのかと調べる。この社会の死者に対する視点の欠如を実感すれば、過去が気になり、死者の視点で物事を見る芸能・能楽について読み始める。観阿弥・世阿弥による大成期が同時に死の影に覆われた時代であったことを知る。1755年のリスボン地震とその影響については知っているのに、日本の地震史、ならびにそれが芸能や知識人に及ぼした影響を知らない。
知が揺さぶられ、秩序が揺さぶられるとき、それはこれまで存在しなかった別の接続が生まれる好機でもある。地震が起こってよかった、などとはもちろん思わない。しかし起こった以上、それをできる限り活かすことこそ、夥しい死者に対する追悼の一部であるはずだ。
今回の地震を経て、言う価値があると思えること、書く価値があると思えることは、わたしにとって変化した。子供が生まれたことも影響しているかも知れない。今の社会を楽しくするために自分ができることを、確実にかたちにしていきたいと思う。
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