土曜日の分の演劇時評。
*東電株主総会開催 スポニチ J-CAST
6月28日、東京電力は福島第1原発事故後初の株主総会を開催した。株主からは議長の勝俣恒久会長の解任動議などが出された。会場には9千人以上の株主が訪れ、いずれの議案でも「賛成」に半数以上の手が挙がったが、勝俣会長はその数を確認することなくすぐに否決。議決数約131万のうち、大口株主からの委任状が約108万を占めていたため、採決を取るまでもなく実質的に結果は決まっていた。
東電の個人株主は74万人。株主数の上では99%だが、株式数の割合は44%。他方で1%の大株主が56%の株を保有しているという。保有率3%台の株主上位には信託銀行、生命保険などの金融機関が並び、東京都も2.7%所有している。
東電経営陣の提案はこの大口株主の委任状を後ろ盾にすべて可決され、株主からは「茶番だ」「出来レースだ」と批判が噴出した。
20世紀ドイツの法学者カール・シュミットは、民主制と自由主義の並置(の擬制)こそ、現代において「政治」が抱える最大の問題の一つだと考えた。彼によれば、民主制とは集合体としての「公」の「喝采」により支えられるものであり、それは「公」を「諸個人」に解体し、一人一票を与え、秘密投票した結果を総計する自由主義とは根本的に相容れない。彼はルソーの全体意思と一般意思の相違を踏襲し、そのように考えた。
今回の株主総会もまた、民主制に対する自由主義の優越と言える。法的観点からは何の問題もなく、文句のつけようがない。しかしこの自由主義的な制度のもとでは、これまでの数倍の株主が集まった事実や、ネット上を中心にそれに関する無数の声が挙がったことが何の意味ももたない。これは真に有効な制度なのだろうか? 「演劇」は喝采によって評価されるべきなのか、それとも無記名アンケートの結果を重視すべきか?
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