2011年7月22日金曜日

[語学A3]Wörter

 正直なところ、日本の大学で行われている程度の会話授業では、ドイツに行ってまともな会話はできない。

 理由は語彙と表現が十分に身につかないからだ。かつてドイツに行くこともままならなかった語学者たちが流暢に話せたのは、膨大な量の文献によって巨大なボキャブラリーを蓄えたためだろう。

 会話についてのアドバイスで、ドイツに行ってから本当に役立ったものは、どれも日本人の先生が教えてくれたものだった。

 一つは慶応大学文学部の和泉雅人教授が教えてくれた方法で、雑誌「Spiegel」の「Spiegel Gespräch」というインタビュー記事を読み、その中から使えそうな表現をメモして暗記する、というもの。自分で使うときは適宜表現を変える。ドイツ語でどのような交流をもつかにもよるが、わたしに関して言えばこれはたいへん役立った。議論を展開する言葉が必要だったのだが、わたしが日本で受けた会話教育はそれを重視していなかった。ドイツに留学する学生は必ず議論する必要に迫られるのだから、簡単な語彙でも議論を通じて身につけさせるべきだ。

 もう一つ役立ったのは、やはり慶応大学の平田栄一朗准教授が教えてくれた本「Schwierige Wörter」。上級レベルの単語集だが、理解が困難ということではない。この本は、ネイティブなら日常的に使っているがドイツ語教育では体系立てて教えることのできないような語彙・表現を網羅している。要するに細かく、量が多く、ルールがなく、原則と応用で対応できないレベルであるがゆえに困難なのだ。マスターするための道のりが困難なのであり、筋トレのような使い方が必要とされる。しかしこれもまた、覚える端から使用して絶大な効果を上げた。

 「Schwierige Wörter」に関しては、なんだか情けない装丁の新装版が出たようだ。旧版の方がシンプルでクールだったが、仕方あるまい。日本のアマゾンでも買えるようだ。しかし、具体的な使用法は敢えて書かなかったが、本当に困難な学習書であるから、中途半端な覚悟では買わないことをオススメする。

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