2011年5月22日日曜日

ドイツ語(4)

 ドイツ語を読むときに重要なのは、「即物的に読むこと」である。つまり書いてあることを、書いてある通りに読む。文章を読み慣れないうちは、知っている2、3の単語の意味をつなげて文の意味を勝手に解釈することがよくある。文章を「自分のもの」にしてしまうのである。しかしそうした強引な読みは誤読を招きやすい。文章を読む力も向上しづらい。言葉は「物」である、という認識が必要だ。言葉は「物」であり、言葉は「他者」である。自分のなかに容易に取り込んでしまっては、その真意や可能性を縮減してしまう。「物に即して読む」とは、「物」と「わたし」の「あいだ」に読みを成立させることである。「物」を「物」たらしめなければ読めないし、「わたし」も「わたし」でなければ読めない。両者の「出会い」を待たなければならないのである。

 これはドイツ語の文章だけでなく、ひとや出来事、あるいは研究や取材に関しても妥当するのではなかろうか。

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