2011年5月7日土曜日

5/5 速くて軽くて低負担

 5日のニュース。

1. Intel、3Dチップ投入でムーアの法則を堅持する

 FERMAT 独Spiegel

 Intelが従来のCPUチップの設計方法を革新する3Dチップを公表し、これによって「おおよそ二年ごとにCPUの速度が二倍になる[集積回路上のトランジスタ数が倍になる]」というムーアの法則(インテルの共同創業者ゴードン・ムーアの1965年の提唱)が維持されることになった。「Tri-Gate」と呼ばれる技術でつくられたチップは、現在完成しているものですでに従来より37%処理速度が速く、かつ電力消費量は半分で済む。インテル自身が「歴史的イノベーション」を自負するのは無理もないだろう。

 ムーアの法則自体が物理的な限界を抱えていることは自明だったため、インテルはすでに10年以上前から新技術の開発に取り組んでいたとのこと。「Tri-Gate」トランジスタのプロトタイプはすでに2002年に公開されていた。

 この技術によって22ナノメートルのトランジスタが開発され、一つのピリオド「.」程度の大きさに約600万、針の先程度の大きさには約1億のトランジスタを組み込むことが可能になったという。より小さく、より速く、より電力消費の少ないコンピューターが普及する。インテルが劣勢に甘んじている携帯電話市場でも、この3Dチップの登場で変化が起こりうるとシュピーゲルは伝える。事実、アップルがサムスンに製造させてきたiPhone用チップを将来インテルに乗り換えるという噂が立っているらしい。ただし、この3Dチップを搭載したコンピューターが登場するのは2011年末。クリスマス商戦には3Dグラフィックならぬ3D計算のコンピューターが現れる。

 「速くて、軽くて、低負担」。技術が実現する世界と、ひとの嗜好や政治の様式は並行する。カール・シュミットはキリスト教の形態と政治体制の形態のあいだの対応関係を「政治神学」として考察した。わたしたちは「政治工学」を思考すべきだ。「速くて、軽くて、低負担」。直近ではオバマがビンラディンを国際裁判の場に委ねず、国際法を犯してまで殺害したことが想起される。その方が速くて、軽くて、(少なくとも短期的には)低負担だっただろう。経済、社会、芸術の形態も「速くて、軽くて、低負担」が基準になる(あるいはすでにそうなっている)と考える必要があるのではないか。

 それにしても、中東情勢、東日本大震災、ビンラディン殺害に引き続き、2011年という年は何というペースで進んでいることだろう! 従来より37%は速度が速いのではなかろうか。

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